May 11, 2004

エメット・ティルのリンチ殺害事件 再捜査

9c58cdad.jpg今朝ニュースを読んでいて目を見張った。
なんとあのエメット・ティル殺人事件を再捜査する旨を米司法省が発表したのだ!
この間のマーカス・ディクソンの釈放ニュースといい最近信じられないニュースが続き
私は仕事中にもかかわらず飛び上がりそうになった。

エメット・ティルの名前はご存知の方も多いと思うが改めて書きたいと思う。
(彼の名前はカンエ・ウェストなどのラップのリリックにも出てくる)

エメット・ティル殺害事件とは1955年にシカゴからミシシッピ州を訪れていた少年の無残なリンチ殺人で
当時の公民権運動の触媒となった出来事である。


1955年8月28日夜、エメットはミシシッピの叔父の家から連れ出された。
三日後に14歳の彼の死体はタラハッチ川で発見された。

殺害の写真は国中を震撼させた。
彼は体中を激しく殴られており、頭部はほぼ横半分に割れている状態であった。
片方の目はほじくり出されて、鼻は切り落とされ、下顎は粉砕していた。

主犯と見られる2人の白人男性−ロイ・ブライアントと彼の半弟J.W.ミラム−は全白人の陪審員によって無罪放免の判決を受けた。
以来、一日たりとも刑務所で過ごす事なく2人供既に死んでいる。

1956年にはエメットが白人女性に口笛を吹いた数日後に(何故かは証明されていない。彼のドモリを落ち着かせるための方法だったとの説もある)
彼を殺したことを認めたミラムの言葉をルックという雑誌が掲載した。
「俺はこう言ったんだ。『シカゴボーイ、お前等の様な問題を起こす奴らをこっち(サウス)に送ってくるのが我慢ならねえんだよ。
お前をいい見せしめにしてやろう、それで誰もが俺達のやり方が分かるってもんだ。』」
との彼の言葉が引用されている。
ミアムによると、彼はエメットを続けざまに殴り続けた後、頭を銃で打ち抜き、その後重い鉄扇に死体を縛り付けて川に捨てたという。

彼の死は何千人もの人々を悲しみと怒りに振るわせた。
オープンカスケット(死体公開)葬式がシカゴで行われた時、人々は人種憎悪の残酷な真実を目の当たりにしたのである。

**************************************************

(以上、写真及び表現が非常にグラフィックな部分もあるが、この残忍さを理解して欲しいので載せた)

オープンカスケットにしたのは彼の母親であり、この憎悪と残虐の事実を広めるためにあえて決断をした。
同時期にはジェットマガジンも表紙に彼の死に顔を載せることでマス人口に訴えた。

主犯の2人が死んだ後に49年前のこの事件を掘り返す事にどういった意味があるのか。
それはJusticeとReconciliationである。

「エメット・ティルの殺人はこの国の国民権運動を発展させた歴史の一つであり、
犯人達の裁判失敗はアメリカの和解の経歴の汚点であり続ける。」
これはニューヨーク州上院議員のチャールズ・シュマーの言葉で私も100パーセント同意する。

マーティン・ルーサー・キング牧師記念館に息子の人生とその死について語るためにアトランタに訪問予定だった
エメットの母親、故メイミー・ティル−モブリーはその一日前、去年1月に亡くなった。
彼女のために、そしてこの国全ての人々のためにもClosureを与えて欲しい。

彼女はたった一人の息子の死後、何十年にも渡り人種差別反対運動を続け戦ってきた本当のファイターであった。
2003年彼女の訪問を楽しみにしていた大勢のうちの一人であった私はショックで呆然とした。
ちょうど同時期にエメット・ティルについての書籍やドキュメンタリーが続々とメディアに現われて
(勿論彼女の貢献によって)彼の死に対するJusticeを求める声が高まっていた。
誰もが これからだ!と思っていた矢先の出来事だった・・・。

しかし今からでも遅くない。
正義は最後には必ず勝つと信じたい。
私個人としては主犯2人だけが犯人ではなく、当時のミシシッピ警察機関・裁判/司法機関・
全ての12人の陪審員・そして事実を知りながらもみ消した政治家達全員が裁かれるべきだと思うのだが、
この先の捜査結果から目が離せない。

(主犯の2人以外にも他7人もの人間が殺害に加担したとも言われている。
その内の数人は現在生存する。)


sistah at 13:05│Comments(14)clip!ニュース・記事 

この記事へのトラックバック

1. お役所ブルース  [ PUFFY英文記事翻訳サイト ]   January 15, 2005 18:22
 免許の更新に行ってくる。うっかり、なんちゃら協会に金を払ってしまった。無念。...
2. [読書]「The Time of Our Singing」(R・パワーズ)途中経過  [ mauのしっぽぽ図書館 ]   October 18, 2005 20:57
ISBN:0099468530:detail リチャード・パワーズを原書で読むのは初めて。難解、とまでは言わなくても相当構成には凝るタイプだし、読者にもかなりの知識量を求める作風だし…とおっかなびっくりで読み始めたものの、文章自体は簡潔で読みやすいので慣れてくれば割とスイスイ...
3. エメット・ティル事件  [ 致死量の毒 ]   October 28, 2005 12:53
さすがアメリカ。ひでぇ国だ。最高だね(ケッgoogle「エメット・ティル事件」
4. エメット・ティル殺害事件について  [ 名も無いニッキ ]   August 27, 2006 02:16
<歴史に残る殺人事件>  1955年8月24日、エメット・ルイス・ティル Emmett Louis Tillという名の黒人少年が二人の白人男性によって惨殺されるという事件が起きました。その後、この事件の裁判は全国的に注目を集め、拡がりをみせ始めていた公民権運動に大きな影響....

この記事へのコメント

1. Posted by berry   May 11, 2004 14:03
特にミシシッピー、アラバマ辺は残虐な事件多いですね。今朝のラジオでちょっと耳にしたのはテキサスでの事件。あとでネットで調べてみようと思ってますが、リンチ事件だったような気がします。
今でもまだ多くある差別・・・いったいいつになったら変化するんでしょう。
2. Posted by nee_nah   May 11, 2004 22:46
今朝の新聞でこのニュースについて読んだよ。
アタシも日記に書こうと思ってたけど、Sistahちゃんが書いてくれてよかったよ。笑。
読んで勉強になった〜。

これってすごいことだよね。
今から50年以上も前の事件の再捜査。
しかも人種差別がらみ。

彼の母親の貢献はかなり大きかったんだろうね。
彼女のためにも皆のためにも、この捜査がよい方向に向かうことを祈るよ。
3. Posted by んでる   May 13, 2004 13:34
私は、彼のこと、詩人のニッキ・ジオバンニの作品で知りました。
その当時にリアルタイムでこのことを知った黒人たちのささやき声のような詩があったと思います。

裁判で過去をいくらか修正(?)することが出来たとしても、単なる「人種」を理由に背負った傷は、隠せないよね。治らない。新聞や歴史書、いろいろな文献には、この先行われる裁判のことが1ページになるんだろうけど、普通の人々の心の中にあるものまで、「修正」が効くだろうか。憎しみ、ではなく、傷や重い荷物のような悲しさと言うのは、軽くなるんだろうか。
4. Posted by Lil' Kiki   May 15, 2004 10:19
私もこのこと今日Newsで知って、リサーチしたんだ。

殺された後のEmmett Tillの写真を息子に見せるのはどうしようかとおもったけど、息子にこの話をしたらすごく興味を示して、この当時の南部の人種差別のひどさを子供なりに考えていました。これがDaddyの話ている南部の人種差別なんだと実感していたようです。

私もEmmett TillのMurder事件について書こうと思ったけど、Sistaこねこちゃんが上手く書いてくれたから、その辺は自分の日記でMentionするかもしれません。

これからも、すばらしいSistaこねこちゃんのWork応援します。

P.S.時間があれば又私のHPに遊びに来てね。
5. Posted by Lil'Kiki   May 15, 2004 10:25
Sistaこねこちゃん、ごめんね。
なんか私のコメントが同じの3回もはいっちゃってるわ。
私は消せないから、こねこちゃん消せたら2つ消してね。
Sorry・・・
6. Posted by Princess Pink   May 17, 2004 12:36
Lil' Kiki姉さんの日記を読んでこっちにもきました。
ほんとに惨い事件ですね。

Emmittのママはとっても勇気のある人だと思います。
彼女の貢献は大きいし、これかまた差別をなくしていく一歩につながるはず。

この再捜査で以前の捜査が差別的に行われたという事実を発表して
二度とこんなことが行われないように祈ります。

でも、犯人達がなんの裁きもなく生涯を終えたのには憤りを感じる…!!
7. Posted by sportin life   September 01, 2005 18:37
エメットティル事件(4ヶ月後バスボイコットにも大きな影響を及ぼしたといわれる)の、先週(8/28)は50周年にあたりますが、各地方紙(ChicagoやMsなど)では特集記事が組まれたようです。また今、ハリケーンが猛威を奮っている地域ですが今月9月15日〜18日、アラバマのスティルマン大では大規模な記念シンポジウム(オプショナルで現地見学ツアー有 Dr Linda Beito コーディネイター)が行われます。既知のことかとは存じますが御参考までに下記御案内申し上げます。

http://www.stillman.edu/stillman/news/publicrelations/emmit%20till%20conf.%20rsvd.july19.pdf#search='emmett%20till%20linda%20beito%20stillman'

http://www.stillman.edu/stillman/news/publicrelations/emmit%20till%20conf.%20rsvd.july19.pdf#search='emmett%20till%20linda%20beito%20stillman'


8. Posted by Sistah   September 17, 2005 08:03
**Sportin Lifeさんへ**
貴重な情報ありがとうございます!!!
残念ながら参加することはできませんでしたが
(ちょうどNCに旅行中だったので)
またこういったイベントがあれば是非是非教えて下さい!!
9. Posted by Sportin Life   February 16, 2006 16:55
遅くなりましたが、昨年のエメット・ティル シンポジウム、
拙劣な英語力にもかかわらず参加してきました。内容を充分理解するのは困難でしたが、事件現場のMoney(殆ど廃墟)や裁判のあったSumner(当日傍聴や取材されていた方も
いました)なども見学いたしました。Emmett氏の従兄弟で当日居合わせた
Wheeler Parker師やCBSで共犯を示唆されたHenry Lee Loggins氏の子息も
見えられていました。いずれ整理できればと思います。とりあえずご報告まで。
10. Posted by グリーン・ドラゴン    March 02, 2006 02:38
友人が、昨日の夜、サンフランシスコで、エメット・ティルのドキュメンタリーフィルムを見たと言っていました。また、この問題をもう一度考えようと言う運動が始まっているらしいです。
11. Posted by Sistah   May 06, 2006 22:18
★Sporting Lifeさんへ★
参加されたんですか! 素晴らしい!
その経験について知りたいです!!!
Sporting LifeさんはBlogをお持ちですか?
お持ちでしたら是非教えて下さいね!!

★グリーンドラゴンさんへ★
そういった運動はとても意義のある事だと思います。
過去の事件から学んでこそ未来の問題に取り組んでいけるのではと思うので。そのお友達はどのような感想を持ったのでしょう。興味あります。
 
12. Posted by noboru chizuko   February 07, 2007 13:21
私は62歳の主婦の傍ら、通信制大学でアメリカ・黒人文学を学んでいます。エメット・ティル事件についても関心を持ってきていました。2004年11月の米司法省の再捜査の報の後、確か2006年の初めにこの事件の判決が出たとの記憶があり、もしご存知でしたら教えていただければと願い、アクセスさせていただきました。お返事いただければ幸甚に存じます。
13. Posted by 通りすがり   April 17, 2007 11:35
昨夜「ミシシッピ・バーニング」のDVDをみて、
衝撃を受けました。
アメリカに行く予定があるときは、
その土地の歴史を調べる必要がありますね。
「フリーズ」(止まれ)の意味がわからなかったため、射殺されたのではといわれた服部さんの留学地も
たしか深南部であったかと記憶しています。
14. Posted by VICE   February 14, 2008 23:28
2 オマエはルー大柴か?

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